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障がい者施設の生活介護の現状と制度について

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みなさんお疲れ様です。

今回は、障がい者施設でも利用者の多い生活介護事業の現状と制度を解説します。

障がい者施設の生活介護事業は、多くの障がい者が利用できる通所サービスの一つであり、

障がい者施設で働くことが初めての方が配属されやすい職場でもあります。

また、給与や配置基準など、現在働いている方にとっては今更訊けないような有益な情報もご紹介したいと思います。

目次

生活介護の現状と制度について

生活介護事業は、現在の障がい者総合支援法によって規定された障がい福祉サービスの中の事業の1つです。

ちなみに事業をサービスと言い換えることもできます。

生活介護事業とは

生活介護事業とは…

入浴や排せつ、食事の介助、日常生活上の支援、身体機能又は生活能力の向上のための支援、創作的または生産的活動等の機会の提供、その他助言・相談を行うサービスのこと。

事業所を利用しようとする障がい者が自力又は送迎を利用して事業所に通う、通所事業の1つです。

生活介護事業の数

2017年(平成29年)10月時点で、全国7,275の事業所があります。
(公営・私営含む)

各障がい児者福祉サービス事業所数

出典:「平成29年社会福祉施設等調査の概況」厚生労働省 ※アンダーライン筆者

これは、訪問系2事業、放課後等デイサービス事業、就労継続支援B型事業、相談支援事業、共同生活援助事業に次いで7番目に多い事業です。

施設内での障がい者への現場支援事業では、3番目に多い事業であり、特に資格を必要としないために、障がい者支援未経験者が配属されやすい事業でもあります。

生活介護利用者と生活介護事業所はおおむね増加傾向にあります。

生活介護利用者と事業所の推移

出典:「生活介護に係る報酬・基準について《論点等》」厚生労働省

訪問系サービスと放課後等デイサービスについて

ちなみにですが、訪問系サービスにおいてはこちらが利用者宅等へ出向くため、小さい事務所でも可能であることから、定められた指定基準(設備基準)をクリアしやすく、比較的開業しやすいサービスであったこと、

また、放課後等デイサービスは、2012年障害者自立支援法の改正法(障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律)の施行により、放課後等デイサービスが新設されたことと潜在的利用者も多かったこと。

これらの理由から事業所が増加してきた経緯があります。

生活介護事業を利用できる障がい者

生活介護サービスを利用できる障がい者は法律により規定されています。

地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者

(1) 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

(2) 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

(3) 生活介護と施設入所支援との利用の組合わせを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続を経た上で、市町村により利用の組合わせの必要性が認められた者

出典:「障がい福祉サービスについて」厚生労働省(*太字筆者)

主に障がい者の障がいの度合いを表す、「障害支援区分」によって定められています。

障害支援区分は、総じて数字が大きいほど障がいが重く、より支援が必要と考えて下さい。

障がい支援区分について 厚生労働省

出典:「障害支援区分の概要」厚生労働省

生活介護利用者と障害支援区分

障がい者の障害支援区分は「認定調査」と「市町村審査」の2回の判定を経てその利用者の障害支援区分が決定されます。

障害支援区分の審査判定実績

出典:「障害支援区分の現状と取組について」厚生労働省

全国版障がい支援区分の分布

出典:「障害支援区分の概要」厚生労働省

表を見て分かるように、判定された障害支援区分は区分2〜6がほとんどです。

つまり、現在の生活介護の利用規定では、ほとんどの障がい者が生活介護サービスを利用できる可能性があり、

また、生活介護サービスが障がい者にとって最も必要とされているサービスの1つとも言えるわけです。

生活介護での生活支援員などの職員配置

生活介護の連携体制

生活介護事業及び各障がい福祉事業においては、生活支援員も含め、職員の人員配置基準というものが定められています。

今後、研修や講習などで学び、サービス管理責任者や管理者を目指す職員には必要な知識であります。

障害福祉生活介護サービスの人員配置基準

出典:「障害福祉サービスにおける人員配置基準」奈良県ホームページ

単位とは…

ここで言う単位とは、
そのサービス提供が同時に複数の利用者に対して一体的に行われるものをいう。

生活介護の単位とされる利用定員は20名以上。(多機能型事業所を除く)

生活介護利用者の平均障がい支援区分に応じて、看護職員や生活支援員等の配置すべき総人員数が決まってくるわけですが、

重要なことは、支援の現場は、定められた基準をクリアしているからといって支援業務が順調に運ぶとは限らないことです。

人員配置基準はあくまでも基準であり、

支援員の支援業務(負担)という観点から言えば、利用者の支援内容や特性、日々の体調や情緒の変化などによって、現場支援に必要な人員は変わってくるはずなのです。

そう、対人支援というものは、予測できない何かが起こり平穏な1日を過ごせることは多くはないのものです。

ですが、簡単に増員したり、柔軟に人員を入れ替えたりできない事業所の事情もあります。

一方、基準に満たない事業所は問題外としても、基準以上の人員を配置したとて、

現場がうまく回るとも限らないのが、対人支援の「妙」。

というのも人員配置基準には常勤換算という方式が採用され、それが問題点でもあるからです。

正規、非正規、常勤、非常勤、などそれぞれの職員がそれぞれの能力を発揮し、協力し合いながら利用者の状況に応じて臨機応変に支援していくことが求められるのです。

ここでは人員配置基準と常勤換算方法についての詳しい解説は割愛しますが、

気になる方は下の記事を参考に🔻

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【障がい者施設】配置基準とは何かを分かりやすく解説 障がい者施設で働いていると、なんでもっと職員を増やさないんだろう?人が増えれば楽になるのに…、と思ったことはありませんか?それには障がい者施設の人員配置基準が関わっているんです。配置基準について分かりやすく解説していきたいと思います。

生活介護以外のサービスの種類

現在、障がい者に対する福祉サービスは、障がい者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)によって規定されています。

また、障がいに対する福祉サービスは自立支援給付と地域生活支援事業に分かれています。

参考リンク

障害福祉サービスの利用について」全国社会福祉協議会

障がい福祉サービス

自立支援給付のサービスは障がい福祉サービスとも呼ばれます。

自立支援給付とは…

自立支援給付(個別給付)は、利用者に対して直接提供されるサービスのことであり、行政が負担する(一部)費用のことでもある。

地域生活支援事業は主に都道府県や市町村によって実施されるサービスですので、ここでは割愛します。

障害福祉サービス等の体系

出典:「障害福祉サービスの概要」厚生労働省

その中に生活介護がありますが、

他にも障がい者施設で働くことが初めての人が比較的配属されやすいサービスを紹介したいと思います。

就労継続支援A型

就労支援事業の1つ。

一般企業への就職を目標に施設と雇用契約を結び、施設内での作業を行う利用者を支援していきます。

利用できる対象者に障がい者支援区分による制限はありません。

就労継続支援B型

就労支援事業の1つ。

一部日常生活を介助しながら、一般企業への就職を見据えて施設内での作業や活動を行う利用者を支援します。

利用できる対象者に障がい者支援区分による制限はありません。

平成29年度就労継続A・B型平均工賃

出典:「障害者就労に係る最近の動向について」厚生労働省

就労継続支援B型においては、一般就労を目指せるくらいの比較的作業能力の高い利用者が多いため、その作業も生活介護より高度な技術を要するようです。

その工賃は、平均15,603円/月となり、これを就労継続支援B型サービス利用者で割った金額が支給されるわけです。

一方、就労継続支援A型においては、施設と雇用契約を結んでいることから、労働基準法が適用され、最低賃金以上が支払われます。

当然その金額は高くなるのです。

また、利用者にはそれだけの作業能力が求められ、施設側からすれば最低賃金以上の価値を持つ作業工程や生産物品、環境を整備しなければなりません。

高度な生産活動を行うサービスの場合、それを支援する職員にもより専門的な知識や技術、経験が必要とされます。

施設入所支援

入所施設を住まいとする利用者に、主に夜間(〜早朝)において、入浴、排せつ及び食事等の介助、生活等に関する相談・助言、日常生活上の支援を行います。(入所支援施設)

障害者支援施設のこと。

入所施設のことを「障害者支援施設」と呼んでいる場合もありますので、注意してください。

利用できる対象者は

(1) 生活介護を受けている者であって障害支援区分が区分4(50歳以上の者にあっては区分3)以上である者

(2) 自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援B型の利用者のうち、入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められる者又は通所によって訓練を受けることが困難な者

(3) 特定旧法指定施設に入所していた者であって継続して入所している者又は、地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により通所によって介護等を受けることが困難な者のうち、(1)又は(2)に該当しない者若しくは就労継続支援A型を利用する者

(4) 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設(指定医療機関を含む)に入所していた者であって継続して入所している者

出典:「障害福祉サービスについて」厚生労働省

共同生活援助(グループホーム)

障がい者に住まいを提供し、少人数制の居住施設で日常生活の補助、自立のための支援、家事支援を行います。

多機能型事業所

多機能型事業所とは

障害者総合支援法における生活介護や就労継続支援A型、就労継続支援B型など、
児童福祉法における児童発達支援、放課後等デイサービスなど
その中で異なる2以上の事業を一体的に行う事業所のこと。

多機能型事業所も多く見られる事業所の1つの形態です。

福祉事業において、それぞれ各サービス毎に利用定員が定められていますが、

その利用定員に満たない場合や、広く利用者を集めるためなどの理由から、

複数のサービスを合わせた多機能型事業所として開設することが可能になっています。

その他の仕事内容はこちらを参考に🔻

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障がい者施設の種類について【働き方別】 障がい者施設にはどんな種類があるかご存知でしょうか?そしてどんな仕事があるのか知っていますか?働く職員の視点から障がい者施設やサービスを分かりやすく分類してみました。

生活介護での生活支援員の給与

外貨紙幣

福祉・介護職員の平均賃金は他の産業と比べて依然として低い水準にあります。

産業別平均賃金ー介護職員

出典:「障害福祉サービス等従事者の処遇改善について」厚生労働省

ただ、国の処遇改善加算などの施策と法人の努力によって少しづつ給与は上がっています。

処遇改善加算とは…

福祉業における、福祉・介護職員処遇改善加算のこと。

障害福祉事業所は、職員の経験や技術、能力に応じた昇給制度やキャリアアップのための仕組みを示したキャリアパス要件、賃金以外の職場の改善のための取り組みを示した職場環境等要件を満たすことで、自治体(国保連)から処遇改善加算(報酬)を得ることができる。

この加算(報酬)が、従事する職員に処遇改善手当として還元されている。

生活介護サービスに従事する生活支援員(常勤)の年収は3,504,683円です。

任意の賞与を引いたとして約25万円前後/月と推測できます。

生活介護サービスー平均給与額

出典:「平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果」厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部

給与とは…

給料、賃金、賞与、残業代、各種手当など企業から支払われる全てをいう。


ちなみに給料とは、賞与や残業代、各種手当などを含めない基本給のこと。

次の表は、障がい者に対する福祉サービスに従事する職員の平均年収です。

障がい福祉サービス 給与の状況

出典:「平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果」厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部

障がい者に対する福祉サービス全体の職種別年収では、生活支援員は金額の高い方から18番目に位置しています。

より専門的領域を担う職種や、より責任を伴う管理者・責任者は上位です。

そして、特定の資格を必ずしも必要としない生活支援員の給与は、より専門的資格を必要とする職種に比べて低いのは否めません。

しかし、先程の生活介護の実情や現場での直接支援の過酷さを知れば、安すぎるとは言わないまでも、もっと評価されても良い仕事内容であることは確かです。

まとめ

障がい者支援に初めて関わり、日々の目の前の業務に追われることで障がい福祉の制度などは蔑ろにしてしまうのも仕方のないことかもしれません。

経験を得るにつれ、関わる利用者からその勤める法人の実態までもが掴めるとしても、

僕は広い視野で利用者や法人を客観視してほしいと思います。

生え抜きと言われるような、一つの法人において何十年も勤められた方を否定するつもりはありませんが、

利用者も法人も千差万別です。

利用者支援や管理業務について、誰からも否定されず、考えを改めることなく、

一つの法人内で一人、裸の王様になってしまうことは避けてほしいと願います。

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