【障がい者施設】配置基準とは何かを分かりやすく解説

障がい者支援施設の人員配置基準について障害福祉用語集
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みなさんおつかれさまです!

障がい者施設で働いていると、なんでもっと職員を増やさないんだろう?

人が増えれば楽になるのに…、

と思ったことはありませんか?

それには障がい者支援施設の人員配置基準が関わっているんです。

また、その問題点についても触れたいと思います。

今回は知っていて損はない、配置基準について分かりやすく解説していきたいと思います。

障がい者支援施設の配置基準について

障がい者施設の配置基準とは

障がい者施設では、職員の配置基準というものが定められています。

支援に最低どのくらいの職員が必要なのか決められているんですね。

人員配置基準」と言ったりします。

その人員配置基準を説明するには、お金の流れや常勤の意味、常勤換算方式の理解が必要です。

ここでは分かりやすく、

「障害福祉事業」「事業所」を「施設」、

「障害を持つ方」を「利用者」と言い換えています。

「障害者総合支援法」「労働基準法」や省令、条例、告示などを「法律」として、

「障害福祉サービス」や事業ごとの個別サービスを「サービス」として、

ひとくくりにしてしまっています。

また、その他一般的に使われない言葉を分かりやすく言い換えていることがありますので、了承ください。

ものすごく簡単に言うと

常勤と言われる職員1人につき、

生活介護では、利用者3人から6人、

就労継続支援A・B型では、利用者8人から10人

を支援することが基準として設定されています。

どうでしょうか?

多いでしょうか、少ないでしょうか?

では順を追って解説していきましょう。

障がい者施設の収入源と報酬について

障がい者施設の人員配置は、施設の収入(報酬)に深く関わっています。

横道に逸れますが簡単に説明します。

施設はどこから収入を得ているのか、不思議に思うことがあります。

まあ、国から支払われているんだろう、ぐらいの感覚ですよね。

正確には、「国民健康保険団体連合会」(以下、国保連)という団体から支払われているんです。

「国保連」は「市町村」に請求し、

「市町村」は「利用者」に支給決定と受給者証の発行を、

「利用者」は一部負担金を「施設」に、

「施設」は「国保連」に請求する、といった流れです。

障害福祉サービス等の請求の流れ

出典:「障害福祉サービス等の請求の流れ」ニップクケアサービス株式会社

この流れているお金のことを、「報酬」や「給付金」、「サービス費」とそれぞれの立場で言い換えることができます。

その他の役割として、「国保連」はルールに従いお金が流れているかを審査しています。

「市町村」はルールに従いサービスが提供できているか、施設を指導監査します。

障がい者施設は国保連に請求できる

そのお金の計算には、「単位」という概念が使われています。

「単位」は、各サービスを数値に変換した価値、と言えます。

そしてその「単位」が一つあたりいくらなのか(単価)は、各地域と各サービスによって異なります。

簡単に言うと、

「単位×単価=施設に払われるお金」

これを「国保連」に請求するわけです。

施設の収入によって利用者や職員の増減も左右され、

定められた人員数に満たない場合は減算として施設の収入(報酬)も減ってしまうわけですから、

報酬や単価、単位の概念も知る必要があると思います。

常勤と非常勤、正規職員と非正規職員、パートやフルタイム

僕が社会人になって混同してしまったのが、
「正規職員」(正社員)や「非正規職員」(非正規社員)、「パート」、「フルタイム」、「常勤」、「非常勤」などの言葉です。

施設で働き始めると、自分たちのことを「正職」なんて言いかたをしますね。

これは「正規職員」のことです。

ちなみに、「職員」とは、法人や団体、学校、国や地方公共団体に所属して、働いている人たちのことを言います。

また、「社員」は、厳密に言えば、株主を指すようですが、今では正社員を一般に「社員」と呼んでいますね。

これは、言葉の持つ意味の違い、ですが、

働き方の違いは、どうでしょう?

実は、これらの違いは人員配置基準を語るのに整理しなければならない言葉なんです。

まず、一般的に会社と契約して働いていれば誰でも、「労働者」(従業員)と言えますが、

それ以外は上記のような言葉の持つ働き方の違いは、はっきりと法律では決められてはいません。

そう、正規職員や非正規職員、常勤、非常勤の違いは、会社の就業規則に則って決められているんですね。

ただ、「常勤」については、会社の規則に則った上で、「常勤としての決められた労働時間を満たすこと」、として定められています。

一般には、労働時間の違いが働き方の違いと言えますが、

会社毎でその定義は異なりますから、契約時には注意が必要です。

また、働き方の違いは会社の規則に則りますが、労働時間については、法律で決められています。

1日8時間週40時間(以下)」が法定労働時間とされています。

一般的にこの労働時間で、会社は「正規職員」「フルタイム」「常勤」と定めています。

例えば、1日8時間、週5日、週40時間働いたら、あなたは「常勤」ですよ、と会社の規則で決められています。

会社は、規則で決められた労働時間分働いている人を「正規職員」「フルタイム」「常勤」と呼んでいますが、

フルタイム、1日8時間週40時間働いていても、非常勤職員として契約していたりします。

契約の内容、特に福利厚生や社会保険、退職金の待遇などで「正規職員」と「非正規職員」が分けられている場合が多いと思います。

それなので、例えば、「常勤」といっても契約上、パートさん(非正規職員)であることもあるわけです。

まとめると、

  • 法律では、「常勤」や「正規職員」などがはっきりと定義づけされているわけではない。
  • 「正規職員」「フルタイム」「常勤」=会社で決められた時間分働いていることを言う。
  • そして「常勤」として働かなければならない労働時間は、会社ごとで変わってくる。
  • 「フルタイム」「常勤」でも「正規職員」とは限らない。
  • 「正規職員」と「非正規職員」では、福利厚生などの待遇で違いがある。

ということを覚えておいてください。

常勤換算方式

生活介護や就労継続支援B型など、事業によって最低限必要な人員配置が決められているんですが、

そこには法律により「常勤換算方式」が採用されています。

「常勤」の概念が、人員配置基準に採用されているんですね。

常勤」とは、「施設で定められた常勤としての労働時間数を満たしていること」を言います。

また、その時間数に満たないことを、「非常勤」と言います。

常勤としての労働時間は、基本的に法律で1日8時間週40時間以下と定められています。

この上限を超えない限りで常勤としての労働時間は、各施設によって異なりますが、常勤換算方式では、週32時間を下回る場合は、週32時間と計算します。

この方式は、基本1ヶ月(4週)で適用します。

実際に換算してみると、

施設の決められた常勤としての労働時間を、
1日8時間週40時間とし、

ある人が実際に1日8時間週40時間働いたとすると、

40÷40=1.0 になり、

その人は常勤となります。

逆に20時間しか働いていなければ、

20÷40=0.5 になり、

非常勤となります。

先に述べたように、常勤が必ずしも正規職員である必要はありません。

そして、注目すべきは、

0.5の非常勤が2人集まると…、1.0となり、
常勤扱いと同等の意味を持つこと。

悪く言えば、十分な育成をされていない非常勤職員が集まっても、常勤職員扱いできるということです。

これは、常勤職員が正規職員であった場合、代わりとなる非常勤職員が正規職員と同等の支援が提供できるかという疑問が残ります。

では、常勤換算方式を踏まえた上で、具体的に、サービス別にどのくらいの人員が必要なのか見ていきたいと思います。

障がい者施設の事業別配置基準

障がい者施設といっても、さまざまな事業に分かれています。

障がい者施設の種類

障害福祉サービス等の体系

出典:障害福祉サービスの内容 厚生労働省

ここでは、生活介護サービスと就労継続支援A・B型サービスの人員配置基準について説明したいと思います。

生活介護

生活介護サービスの人員配置基準については、以下の表のように決められています。

ポイントとしては、

  • 医師は嘱託医でも良いということ。
  • 看護師は非常勤職員でも良いということ。
    (表には書かれていませんが)
  • 機能訓練を行わない場合は、理学療法士や作業療法士は必ずしも必要でないこと。
  • 生活支援員は、一人以上常勤であれば良いということ。
  • 基本的に、生活支援員等1人につき利用者6人〜3人を支援することが基準として設定されていること。

障害福祉生活介護サービスの人員配置基準

出典:障害福祉サービスにおける人員配置基準

では、例を挙げて実際に人員配置を算出していきましょう。

利用者20人の場合
障害支援区分3…2人
障害支援区分4…5人
障害支援区分5…6人
障害支援区分6…7人

まず利用者の平均障害支援区分を求めます。

表の下の計算式に当てはめて、

{(3×2)+(4×5)+(5×6)+(6×7)}=98

98÷20=4.9

平均障害支援区分は4.9となります。

さらに、表の中段の②、必要人員の総数を求めます。

ちなみに、「利用者数を6(あるいは5、3)で除した(割った)数」とは、

生活支援員等が1人につき、利用者6人(あるいは5人、3人)を支援することが基準として設定されているから、利用者数を6(あるいは5、3)で割るんですね。

表② 20÷5=4

これが最低限必要な人員の総数となりますが、

注意が必要なのは、この数値は常勤換算で、ということです。

つまり、常勤換算で4以上の人員が必要ということ。

常勤換算方式を説明したように、

1日8時間週40時間働く人を常勤とすると、

実際にその通り働いた人は、

常勤=常勤換算で1.0

1日4時間週20時間働いた人は、

非常勤=常勤換算で0.5

また、常勤は1人以上という要件もありますから、

例えば、

常勤職員が4人以上、
(常勤換算で4.0)

あるいは、常勤職員が1人と
(常勤換算で1.0)

非常勤職員(1日4時間週20時間)が6人以上の
(6×0.5=常勤換算で3.0)

人員配置が必要ということになります。

ここで求めた人員は、管理者、サービス管理責任者、医師を除いた、生活支援員と看護師(場合によって理学療法士や作業療法士)の必要人員の総数です。

1か月、看護師を含めた、常勤職員4人で、利用者20人で支援することも、法律上は可能なわけです。
(職員1人あたり利用者5人)

何度も言いますが、常勤職員が正規職員とは限らないですし、

常勤職員(正規職員)の代わりに数人の非常勤職員が補填することもあるわけですから、

正規、非正規にかかわらず一人一人の支援が重みを持ってくるんです。

就労継続支援A・B型

続いて、就労継続支援A・B型サービスの人員配置を見ていきます。

ちなみに、生活介護サービスを利用できる対象者は、障害支援区分が条件となっていますが、

就労継続支援A・B型サービスを利用できる対象者は、障害支援区分が条件にはなっていないので、

人員配置についても、利用者の平均障害支援区分を求めることはありません。

ここでのポイントは、

  • 基本的に、生活支援員1人につき利用者10人を支援することが基準として設定されていること。
  • 必要人員の総数を求めるのに、「利用者数を7.5で除した数」でも可能であること。(生活支援員1人につき利用者7.5人を支援すること)
    (表には書かれていませんが)
    その場合、施設に支払われる報酬が高くなります。
    (生活支援員等1人につき利用者が10人よりも、1人につき7.5人の方が人員が手厚いから)
  • 生活支援員または職業指導員のどちらかで1人が常勤であれば良いこと。

障害福祉サービス 就労継続支援A・B型の人員配置基準

出典:障害福祉サービスにおける人員配置基準

では、例を挙げて実際に人員配置を算出していきます。

利用者61人の場合、

必要な生活支援員及び職業指導員の総数は

手厚い支援を行うため、7.5で割るとすると、
(職員1人あたり利用者7.5人)

61÷7.5=8.1人

これが常勤換算で最低限必要な人員の総数です。

例えば、

1日8時間週40時間働く人を常勤とすると

常勤職員が9人
(1.0×9)

あるいは、

常勤職員1人
(職業指導員1.0×1=1.0)と

1日4時間週20時間働く非常勤職員(生活支援員)15人
(常勤換算で0.5×15=7.5)、

1.0+7.5=8.5

この場合、計16人で人員配置基準の要件を満たします。

1か月、常勤非常勤職員16人で、61人の利用者を、支援することも可能です。
(職員1人あたり利用者3.8人)

就労継続支援A・B型利用者は比較的自立された人が多いので、職員1人あたり利用者3.8人であれば、場合によっては、「手厚い人員」と感じられるかもしれません。

障がい者施設の配置基準の問題点

では、実際に施設は、決められた人員配置基準というものを遵守しているのかどうか、

いくつか調査報告があったので引用してみたいと思います。

まず、生活支援員や看護師などの現場支援を行う直接支援職員の配置基準について、

平成29年度 全国知的障害児・者施設・事業実態調査報告 直接支援職員の状況

出典:「平成29年度全国知的障害児・者施設・事業実態調査報告」公益財団法人日本知的障害者福祉協会調査・研究委員会

障がい者施設においては、127%
(表の右端)

常勤専従(常勤で専念できる職員)が、99%

基準とされる人員配置を超えており、しかもそのほとんどが常勤職員であることが分かります。

そして、別の資料でその常勤率を見ても、

障害福祉サービス等経営実態調査結果 生活介護 常勤換算従事者数

障害福祉サービス等経営実態調査結果 就労継続支援A・B型 常勤換算従事者数
出典:「障害福祉サービス等経営実態調査結果 常勤換算従事者数」厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部

いずれの事業でも8割近い常勤率となっています。
(右端、生活支援員)

しかし、これに指摘できることが、

何度もしつこいようですが、

常勤だからといって正規職員とは限らないということです。

2018年度報酬改定に向けた緊急実態調査報告書 職員の正規・非正規割合について

出典:「2018年度報酬改定に向けた緊急実態調査報告書」きょうされん

日中活動支援(生活介護・就労継続支援B型等)の非正規職員の割合が5割近くあることが分かります。

つまり、

支援する人は、その多くを常勤職員で占めているが、

支援する人の約半分は非正規職員であること、です。

常勤非常勤職員を教育することが施設の役割だとしても、

一般に、時間に限りがある非常勤職員に対しては、

研修や会議などの参加を強制するわけにはいきません。

強度行動障害など、多様化する利用者に対し、より専門的で個別的な対応を迫られる中で、

施設の取り組みと非常勤職員の障がい者支援に対する意識が

現場の利用者支援に影響しているはずです。

常勤、非常勤、正規、非正規、それぞれが協力し合わなければ、現場がうまく回らない現状があるんですね。

まとめ

いかがだったでしょうか?

支援というものを数値で表すのはなかなか無理がありますよね。

個々の利用者への支援度合いや個々の職員の支援能力にも関わってくると思いますが、

人員配置基準、常勤換算方式については、

常勤職員(=フルタイムのパートさん)が正規職員(常勤)と、

非常勤職員(=常勤職員の代わりとして集まった)が正規職員(常勤)と、

同等の支援が提供できるかどうかで現場の状況は変わっていきます。

正規職員や職員自体を基準以上に配置することができれば、

あるいは常勤非常勤職員に十分な教育を施すことができれば現場の支援も改善するかもしれません。

しかし、運営する施設としては、人手が集まらない、すぐに辞めてしまうなどの原因で、職員が一定数に満たなければ減算(報酬が減ること)になり、

手厚く職員を配置することができれば加算(報酬が上がること)となるが、その分人件費も掛かってしまう訳で、

施設に対して現場支援の過酷さを一方的に責めることはできません。

平成30年障害福祉サービス等報酬改定によって、

特に就労支援事業、就労継続支援B型事業においては、多くの事業所は減収となったようです。

収入が減れば、まず人件費を抑えたいと思うのが運営側の考えです。

ただ、収入が増えたとて職員を増やすことができない状況もあるようです。

国の施策とその転換によって、施設の運営状況も刻々と変わっていきます。

施設が私腹を肥やしているのか、
障がい者や支援員を最優先に運営しているのかどうか、

過酷な現場で支援している支援員には見えにくい部分ではありますが、

人員配置基準などの制度を知ることで施設を見極める一助となればと思います。


障がい者と支援員を応援しています!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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