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バイタルサインでわかることと障がい者施設【利用者の死からの学び】

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バイタルサインの表象

みなさんお疲れ様です。

新型コロナ感染症の蔓延で体温やパルスオキシメーターで測れる酸素量など、バイタルサインと呼ばれる体調を表すしるしが改めて注目されるようになりました。

また、医療機関だけでなく障がい者施設などの福祉施設内でもその利用者に対して活用されているのです。

では実際問題バイタルサインの意味や目的、示された数値の判断は?

バイタルサインでわかることとは何でしょう。そして障がい者施設ではバイタルサインをどのように活用すれば良いのでしょうか。

体温や血圧、脈拍や呼吸(呼吸数・酸素量)を中心に、バイタルサインの意味や目的、それにまつわる障がい者施設での出来事をご紹介します。

目次

バイタルサインでわかること

心電図の記録

バイタルサイン直訳すれば「生命の兆候」という意味です。

バイタルサインとは

バイタルサイン…体温、血圧、脈拍、呼吸に代表される、生きていることを示すしるしのことです。

主に医療業界で使われる医療用語。

他にも意識反応、脳波、排泄など複数あり、一つというわけではありません。

人間の体調を表す指標であるのです。

バイタルサイン測定でわかること

バイタルサインによってヒトの異常を察知することができます。

ここでは代表的な4っのバイタルサイン、体温、血圧、脈拍、呼吸(酸素量)の測定でわかることをご紹介いたします。

一般的な基準値や異常値で疑われる疾患の一例は、

体温…基準値は36〜37℃と言われ、発熱や低体温という表面的なしるしだけではなく体内の炎症や感染症、ホルモン異常などを疑います。

血圧…基準値は、最高血圧140mmHg以下、最低血圧80mmHg以下とされています。
最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上の高血圧では心臓に関わる疾患を、
最高血圧100mmHg以下、最低血圧60mmHg以下の低血圧では出血や栄養不良を疑うことができます。

脈拍…基準値は1分間で60〜100回と言われています。
100回以上で呼ばれる頻脈、50回未満で呼ばれる徐脈は、主に心臓などの循環器の疾患を疑います。

呼吸には呼吸数と酸素量(SpO2)のバイタルサインがあります。
呼吸数の基準値は1分間に14〜20回と言われ、少ないと脳出血などを、多いと肺炎を疑います。
呼吸数の基準値は年齢で変わります。

酸素量(SpO2)の基準値は94〜99%と言われています。
低いと呼吸不全や肺炎を疑うことができます。

※あくまでも基準値は一般的な数値であり、異常値からわかる疾患は一例です。

毎日のバイタルチェックと正常値

バイタルサインを測定、確認することをバイタルチェックと呼びます。

バイタルサインには、それぞれ測定された数値に一般的な標準値というものが設定されているのですが、それはある程度の範囲で示されるだけです。

例えば体温に関して、35℃や37℃が平熱である方もいると思います。

他のバイタルサインも同様、その正常値は人それぞれであるといえるのです。

そして人それぞれである正常値を掴むには、毎日、同じ時間に、安静時に測定し、記録することが大切です。

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総合的判断

自分や他の人のバイタルサインの正常値を知った上で、その測定値が異常値であった場合に、かかりつけ医などに連絡、相談する段階となります。

ただ、人の体調悪化を知る方法は一つだけではありません。

もちろんある一つのバイタルサインが示す異常値を軽視することはできませんが、その原因は様々であり、即重篤、救急と判断できるほど専門家でない一般の方は知識を持ち合わせておらず、また、測定機器の不具合や誤作動を疑うこともできるからです。

家庭でも測定できる主要なバイタルサイン、中でも血圧、脈拍、呼吸(呼吸数・SpO2)は密接に関わり合っているため、他にも普段とは異なる異常が見受けられるかも知れないのです。

例えば呼吸は酸素量と大きく関わりがあり、また、脈拍も酸素量とそれを供給する心臓に関わっています。

酸素量の低下によって呼吸数は増加、場合によっては息切れを起こし、脈拍は少ない酸素を送ろうとして上がります。

もしかすると、バイタルサインでわかる疾患とは別に、今、何かしらの、目に見える症状が出ていませんか。

体温や血圧だけでなく、呼吸数や酸素量(SpO2)、脈拍を含め、総合的に体調変化を見極める必要があるのです。

障がい者施設でのバイタルサイン

利用者の死への祈りと合掌

障がい者施設でもバイタルサインのチェックは必要です。

施設を利用される方々の中には自分の体調変化を訴えることのできない利用者も多くいるのです。

バイタルチェックの意味

そういった利用者の健康管理もそこに勤める支援員の職務の一つなのですが、

例えば血圧に関して、ある利用者の血圧の数値のどれくらいが正常でどれくらいで異常となり、異常であったらどんな疾患、症状が予想されるのか、頭に入っている職員はどれだけいるでしょうか。

実際当初は僕も毎日同じ時間に利用者の血圧や酸素量を測定し、記録することに何の意味があるのかわかりませんでした。

また、その意味や目的を先輩から教わったという記憶もありません。

ただただ業務として測るだけの毎日。

特定の利用者だけにパルスオキシメーターで酸素量を測定していたこともありましたが、僕はそもそも酸素量が持つ意味だけでなく、特定の利用者だけに測定する理由も知らされておらず、多忙な業務の中で疑問を持つことさえできないほど余裕がなくなっていくのでした。

障がい者施設での利用者の死

入所施設でのできごと…

ある利用者は元々心臓に疾患を抱えていましたが、激しい運動を避けることを条件に入所施設で他の利用者と何ら変わらない生活を送っていました。

生活において自立され、特に制限もなく、医療施設には入る必要もありません。

しかし、ある時何の前触れもなく利用者が倒れ、亡くなってしまいました。

倒れた時の状況や直接の死因など詳細は知りません。

僕はまだその法人に入職していなかったのですが、数年後その入所施設に配属となり、ある利用者と接するようになってからこの話を聞いたのでした。

ちなみにバイタルチェックに関しては、その入所施設では毎日利用者全員の体温を測っていましたが、血圧と酸素量(SpO2)については特定の利用者に限っています。

酸素量の測定はたった一人。

その利用者と僕が実際に入所施設で関わることになるのです。

実はこの利用者、先ほど話した亡くなってしまった利用者の双子の弟でした。

この弟もわずかながら心臓に疾患を抱えています。

つまり、兄が亡くなったことがキッカケとなりパルスオキシメーターを導入し、あのような悲劇が起こらないよう疾患を抱えた弟に対して酸素量を測り出すようになり、バイタルサインの一つとして記録するようになったという経緯があったのです。

まとめ

サイのサイン

バイタルサインは正しく測定し、その人の正常値を把握することを第一とし、

また、ヒトの体調を判断するには、複数のバイタルサインを鑑みて総合的に判断するべきものです。

バイタルサインはただただ測っても意味はありません。

それを意味あるものにするには、バイタルサインとその数値を理解する必要があるのです。

障がい者施設などで医師や看護師がいない状況であれば、いち支援員が慎重かつ責任ある判断に迫られることもあるでしょう。

バイタルサインの持つ意味や目的は、支援員の知っていなければならない責務であると思うのです。

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