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ALSの特徴とパーキンソン病や筋ジストロフィーとの違い

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ALSとパーキンソン病や筋ジストロフィーとの違い

障がい者である船後靖彦氏が参議院選挙に当選されたことで注目を浴びることになったALS

最近よく耳にするけどその実体がわからないですよね。

また、障がい者支援に携わる支援員でさえも、ALSを重度の障がいとしか捉えていないのではないでしょうか?

ALS利用者を支援する場合には、最低限の知識と適切な支援が必要なのです。

また、パーキンソン病や筋ジストロフィー、ALSとの違いについてもまとめてみました。

目次

ALSとパーキンソン病や筋ジストロフィーとの違い

この3っの病気はどれも国の難病に指定されています。

また、脳の神経に関わる疾患であることが共通点でもあります。

参考リンク

この3っの病名、聞いたことはあるけどその違いが分かる人は少ないと思います。

パーキンソン病

黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患

出典:「パーキンソン病ー概要」難病情報センター

であり、

振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こる病気です。

出典:「パーキンソン病とは」難病情報センター(※太字筆者)

ALSと比較すると、

比較ALSパーキンソン病
罹患率/有病率1年間で新たにこの病気にかかる人は
人口100万人当たり約20人ぐらい。
100万人に1500人くらいの有病率。
60歳以上では100万人に1万人で、

高齢者で多くなる。
主な症状筋肉が痩せ、筋力低下により、運動機能障がい、
構音障がい、嚥下機能障がい、呼吸機能障がい、
認知症などを主な症状とする。
ふるえ(振戦)、筋強剛(筋固縮)、
動作緩慢、姿勢保持障がいが主な症状。
発症年齢60歳代後半を中心に50歳代〜70歳代前半の
発症率が高い。
(40〜)50歳以上で発症される。
原因決定的な原因は解明されていない。ドーパミン神経細胞の減少
(αシヌクレインというタンパク質の蓄積)が
原因とされる。
主な治療「リルゾール」と「エダラボン」の治療薬と
対症療法を治療とする。
「L-dopa(レボドパ)」を代表する
複数の治療薬が有効とされており、
それらの治療薬を組み合わせて使用される。
生存年数人工呼吸器の使用から10年前後の生存が可能とされる。個人により異なるが、
非発症者とほぼ同様の寿命をとる。
知能機能の保持知能機能は保たれる。見かけ上知的障がいと思われるとしても、
原則は知能機能は保たれる。

筋ジストロフィー

骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患

出典:「筋ジストロフィーー概要」難病情報センター

の総称であり、

筋肉の機能に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に変異が生じたためにおきる病気です。

出典:「筋ジストロフィーとは」難病情報センター

ALSと比較すると、

比較ALS筋ジストロフィー
罹患率/有病率1年間で新たにこの病気にかかる人は
人口100万人当たり約20人ぐらい。
患者数の正確な統計はなし。
主な症状筋肉が痩せ、筋力低下により、運動機能障がい、
構音障がい、嚥下機能障がい、呼吸機能障がい、
認知症などを主な症状とする。
筋力減少、筋力低下による運動機能障がいや拘縮・変形、
呼吸機能障がい、心筋障がい、 嚥下機能障がい、
消化管症状、骨代謝異常、内分泌代謝異常、
眼症状、難聴、中枢神経障がい等の様々な機能障がい、
合併症を引き起こす。
発症年齢60歳代後半を中心に50歳代〜70歳代前半の
発症率が高い。
筋ジストロフィーの中でも、
発症年齢や症状によりいくつかに分類されるが、
その多くはデュシェンヌ型筋ジストロフィーで、
幼少期に発症される。
原因決定的な原因は解明されていない。遺伝子変異を原因とする。
主な治療「リルゾール」と「エダラボン」の治療薬と
対症療法を治療とする。
決定的な治療薬はなく、
限定的な副腎皮質ステロイド薬の処方と
対症療法に留まっている。
生存年数人工呼吸器の使用から10年前後の生存が可能とされる。症状の進行、合併症の併発の有無により異なるが、
30〜50歳程度の寿命が見込まれる。
知能機能の保持知能機能は保たれる。発症の型により、
知的障がいや発達障がいを併発する。

ALSの特徴

ALSの特徴

ALSは、「Amyotrophic Lateral Sclerosis」の頭文字を取った略字。

日本では筋萎縮性側索硬化症きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」と呼ばれる。

概要

定義

定義としては、

一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患

出典:「筋萎縮性側索硬化症ー概要」難病情報センター

のこと。

もう少し簡単に言えば、

手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。

出典:「筋萎縮性側索硬化症とは」難病情報センター(※太字筆者)

患者数

日本でのALS患者さんの数は約1万人と推定されています。

また、1年間で新たにこの病気にかかる人は人口100万人当たり約20人ぐらいだそうです。

年齢層

ALSの症状があらわれるのは、60歳代後半を中心に50歳代〜70歳代前半に多いといわれています。

若い世代でも稀に発症することもあるようです。

男女比

男性も女性もこの病気にかかりますが、若干男性の方が多く、男女比はおよそ1.5:1の割合です。

厚生労働省の指定難病

がんを含めた国の難病対策については、1972年(昭和47年)から審議・見直しを行い、2015年(平成27年)1月1日施行の「難病患者に対する医療等に関する法律(難病法)」により、改めてALSが厚生労働省の指定難病に指定され、医療費助成などの方針を規定しています。

参考リンク

原因

ALSの発症について、さまざまに研究されていますが、その原因は未だ解明されていません。

職業や生活環境に関わらず、発症する可能性があるとのこと。

遺伝

60歳代後半を中心に、高齢になるにつれてALSを発症する人が増えていることから、加齢と関係していると考えられているものの、遺伝による発症も少なからずあります。

ALS患者さんの95%は遺伝による発症ではないと考えられているのですが、残り5%については、家族性ALSと呼ばれ、両親やその兄弟、祖父母などがALS患者さんであることがほとんどです。

ALS発症のメカニズムと特徴

筋肉とその劣化

筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。

その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。

出典:「筋萎縮性側索硬化症とは」難病情報センター

ニューロンとは神経細胞のことで、手足や顔などを動かそうとするとき、その信号を脳と脊髄から筋肉に送る働きをするのが運動ニューロンです。

この運動ニューロンが阻害され、脳からの信号が筋肉に伝わらなくなるため、筋肉が動きにくくなり、やせ細って筋肉も衰えていくわけです。

治療や対症療法により遅らせることはできるものの、現在発症すれば進行を止めることはできません。

ただ、ALSの発症で損なわれるのは運動神経であり、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるなどの五感、尿意と便意、排泄機能、思い考える知能機能、他にも運動神経以外の中枢神経、感覚神経、自律神経は比較的保たれるようです。

また、運動神経と言っても目を動かす眼球運動機能が残されることがALSの特徴でもあります。

初期症状

一般的には、手足、手指の動きの違和感、のどの違和感から始まります。

脊髄にある運動ニューロンは手、足、舌、のど、呼吸を司っています。どの部位の神経細胞(運動ニューロン)が阻害されるかによって、 初期症状も異なりますが、おおむね

①箸が持ちにくくなったり、手足が上がらなくなる。
②あるいは、発音しづらい、むせやすくなる。

といった症状が現れます。

ALSの初期症状としては、2つのタイプに大別されます。

①「手足の運動障がいタイプ」

ALS患者のおおよそ7割はこの初期症状が現れるようです。

上肢型や下肢型、あるいは普通型と呼ばれる。

ALS初期症状①
  • 箸が持ちにくい
  • 手足に力が入らない
  • 字が書けない
  • 着替えが遅くなる
  • 重いものが持てない
  • 手足が上がらない
  • ものが掴めない
  • 足が前に出ない
  • 走りにくい
  • スリッパが脱げやすい
  • 座った状態から立ち上がれない
  • 筋肉の痙攣
  • 手足の腫れ
  • 筋肉の痛み
  • 筋肉のつっ張り感

②「舌やのどの運動障がいタイプ」

ALS患者のおおよそ3割はこの初期症状が現れます。

(進行性)球麻痺(きゅうまひ)型とも呼ばれる。

ALS初期症状
  • (特にラ行やパ行が)発音しにくい(構音障がい)
  • ろれつが回らない
  • 言葉が不明瞭
  • むせやすい
  • 飲み込みにくい(嚥下障がい)
  • 舌の痙攣
  • 流涎(りゅうえん)が見られる(よだれが垂れてしまう)

他にも、まれに「呼吸筋麻痺型」として呼吸困難が初期症状として現れることがあるようです。


ALSの特徴は、症状が進行性であることです。

症状が広がる前にできるだけ早く診断され、治療を開始することが大切なのですが、ALS初期症状の特徴が手足やのどの違和感にあるため、多くの患者は、内科や整形外科、耳鼻咽喉科を受診してしまいます。

特に、初期では他の病気との区別がつきにくいため、治療が遅れがちです。

初期症状を自覚したら、特に60歳前後の方はできるだけ早く治療を開始できるように、まずは脳神経内科を受診することが肝要です。

検査と診断

ALSは、脳神経内科で診断されます。

検査が行われるものの、現在診断のための信頼できる指標がないために絶対的確実な診断は不可能だそうです。

つまり主にはALS以外の病気を除外して診断する「臨床診断」が用いられるとのこと。

臨床とは…

実際に患者に接して診察・治療を行うこと。
臨床診断は、血液や尿、便、細胞などを調べる「検体検査」や心電図や脳波など直接調べる「生理機能検査」などのこと。

ALS診断基準

出典:「ALS概要・診断基準等」難病情報センター

問診に始まり、視診・触診・レントゲン・針筋電図検査・脊髄のMRI検査や髄液検査など、複雑な検査を行います。

また、目や顔、手足の動き、腱反射、バランスや感覚の異常の有無を診察し、運動神経がどの程度ダメージを受けているかを確認します。 

主な検査内容を解説すると、

問診

自覚時期や部位など症状を細かく聞き取ります。

視診

目や顔、手足の動きを見、立ったり座ったり歩いてもらうなどして、筋肉の動き、衰えなどを確認します。

触診

「バビンスキー反射」「膝蓋腱反射」などを確認します。

バビンスキー反射…

足の裏を軽くこすって、足の指がどんな動きをするか確認します。正常であれば、親指は内側に曲がり、異常があれば、親指が反るような感じになります。

膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)…

ハンマーでひざを叩いて確認します。脳から脊髄に伸びている上位運動ニューロンに異常がある場合は、反射が強くなって足が持ち上がります。

レントゲン・血液検査・頭部/脊髄のMRI検査(鑑別診断)

筋力の低下の原因がALS以外の疾患なのかどうかを確かめるための検査です。

つまり、ALSかどうかを直接判別するわけではなく、他の病気を除外するのが目的です。

針筋電図検査

細い針を直接筋肉に刺すことによって、神経が筋肉をどのように支配しているかを確かめられます。

神経が阻害されているかどうか、進行性的に起こっているかどうかがわかります。

この検査では、症状が出ていない筋肉にも異常を見つけることができるため、早期診断に効果的です。

髄液検査

針を腰から刺して、脳と脊髄の周りにある髄液を採取する検査です。

一部のALS患者では、髄液内の数値に異常が見つかることがあります。


ALSの診断には、上記のような複数の検査が必要なため、受診から診断まで1年掛かることもあるようです。

また、診断にはある程度の時間経過における症状の進行を見極める必要もあるため、初期症状を自覚したら、なにより早めの脳神経内科への受診が大切だということです。

症状(予後)

ALS患者の嚥下障がいと構音障がい

何度も言うようにALSの特徴は、症状が進行性であることです。

予後とは…

その病気と患者についてのその後の医学上の見通し。

やがては①や②の初期症状が全身に広がっていくのです。

ALSは、現状完治せず、症状が軽くなるということもありません

どちらの初期症状でも進行していくのみで、症状の主な予後は下記の通りです。

ALS症状(予後)
  • 歩行困難(運動障がい)
  • 声が出にくい(構音障がい)
  • 飲み込みが難しい(嚥下障がい)
  • 呼吸困難(呼吸障がい)
  • 認知症(併発)

ただ、症状の進行スピードは、患者さんごとで異なるようです。

発症後約2年で⾃⼒での呼吸が困難になっていきますが、人工呼吸器を使わない場合、病気になってから呼吸不全等により亡くなるまでの期間はおおよそ2~5年…。

しかし中には人工呼吸器を使用する必要なく、10数年に渡りゆっくり進行する患者さんもいます。

症状の進行スピードについては、高齢者であることや、または話しにくい、飲み込みにくいといった、舌やのどの運動障がいの初期症状タイプは進行が早いことが多いとされています。

一方、肩周辺の運動障がいを初期症状とする患者の⼀部において、⽐較的進⾏が遅いということも言われています。

つまり、進行のスピードが個人個人異なるということは、支援する側にとっても、1人1人に合った支援が必要となるということです。

また、最近では認知症を合併するALS患者が増えていると言われているため、より個人に合わせた支援が必要です。
(認知症を併発すると予後が悪くなることが多いとのこと。)

ALSは現在、できるだけ早期に適切に治療介入することで、生活の質を保ちながら長く生ることができるようになっています。

受診から検査、診断が下されるまで時間が掛かることもあり、なにより症状を自覚したら速やかに脳神経内科を受診することが望ましいのです。

治療薬

ALSの治療としては、病気の進行を抑えるための薬の服用が挙げられます。

一般的に「リルゾール」と「エダラボン」というの2種類の薬が症状の進行を抑えるとされています。それぞれの役割は異なるため、場合によっては2種類とも併用されるようです。

リルゾール

・グルタミン酸拮抗剤リルゾール(商品名:リルテック)
・ALSの原因として考えられている神経伝達物質グルタミン酸過剰説に基づいた治療薬。
・グルタミン酸過剰による神経毒性を抑え、神経細胞を保護する作用を持つ。
・日本ではALS治療薬として1999年から使用を認められるようになった。
・用量として1回1錠、1日2回(朝及び夕食前)、1日量として100mg(本剤2錠)を経口投与する。
・副作用として、食欲不振、下痢、便秘、めまい、肝機能異常、赤血球減少、無気力などが挙げられるが、
 多くの場合一過性であるとのこと。

エダラボン

・2015年(平成27年)6月にエダラボンがALSの進行抑制効果を示す治療薬(点滴静脈注射)として認可される。
・元々は脳梗塞急性期に、有害なフリーラジカル(活性酸素)を除去することで脳を保護するために使う薬であった。
・フリーラジカル(活性酸素)による酸化ストレスが症状の進行に関わっていると見られ、エダラボンはそのフリーラジカルを消去し、神経細胞を保護する作用がある。
・一般的に、成人には1回2袋(エダラボンとして60mg)を、60分かけて1日1回点滴静注。
本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返す。第1クールは14日間連日投与後14日間休薬、第2クール以降は14日間のうち10日間投与後14日間休薬する。
・現在内服薬として臨床試験の最中であるとのこと。
・副作用として、腎機能障害(尿量の減少、むくみ)や肝機能障害(全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる)、腎機能障害(尿量の減少、むくみ)、不眠症、発熱、発疹、かゆみ、などが挙げられる。

対症療法(さまざまな症状を軽くする方法・薬)

ALSの構音障がい

進行に伴いさまざまな2次的症状が現れます。

対症療法とは

病気そのものや、その原因を根本から治す「原因療法」とは異なり、症状を軽減し、和らげる治療のこと。
例えば、風邪薬の服用は、のどの痛みや咳、発熱などの症状を緩和・ 軽減させることが目的であり、対症療法となる。
風邪のウイルスを除去させるわけではない。

主な予後の症状に対しての対症療法の一部を紹介します。

運動障がい

手足の運動障がいや手足関節拘縮の予防、あるいは筋肉や関節の痛みに対しては、定期的なリハビリが必要となります。

構音障がい

進行に伴う声の出しにくさに対してはコミュニケーション手段を早めに検討することが大切です。

いずれは、手足が動かなくなり、声も出せず、コミュニケーションが難しくなるからです。

残っている体や目の機能を活かし、本人や家族、医師や専門職員と事前に話し合う必要も出てきます。

パソコンや意思伝達装置など装置や文字盤(道具)と、個々人の残存する機能との相性を鑑み、コミュニケーション手段を選択していきます。

時にはコミュニケーションのための自作(既存)の自助具も必要となり、また、第3者との対話には介助者の介入の必要性も出てきます。

嚥下障がい

のどの筋肉が弱まり、食べ物が飲み込みにくくなった場合は、食事(食形態)に気を配る必要があります。

細かくしたり(きざみ食)、とろみをつけたりして、飲み込みやすくする工夫をします。

さらに嚥下障がいが進行した場合には、経管栄養(胃ろうなど)や点滴による栄養補給などの方法があります。

経管栄養とは

チューブなどを用いて、胃などに直接栄養を注入することです。

経管栄養は管(くだ)を口や鼻から胃へ通したり、胃に穴を開けて手術する必要があるため、ALS患者の体調や呼吸機能に十分に注意を払い、医師と相談することが重要です。

経管栄養の種類としては、

  • 胃ろう
  • 腸ろう
  • 経鼻経管栄養
  • 経静脈栄養(点滴)

などが挙げられます。

確実に栄養が摂れることと、嚥下障がいによって、食事を嫌がる傾向にあるALS患者の体重減少や誤嚥性肺炎を防止するためにも経管栄養が勧められる理由です。

栄養状態が良いと予後が良くなり、長く生きられる可能性が高まることが分かっており、また、高脂肪・高カロリー・高炭水化物の栄養をとっている患者の方は生存率が高いとの調査結果も出ているようです。

呼吸障がい

初期症状①からの呼吸筋力低下や初期症状②の舌やのどの障がい(球麻痺)により呼吸困難が現れます。

呼吸困難に対する対症療法としては、主に鼻マスク使用か、気管切開する人工呼吸器装着かに分かれます。

呼吸困難が重度でない場合や痰が少ない場合には鼻マスクが勧められるようです。

鼻マスクとは

マスク型簡易的人工呼吸器のこと。
(非侵襲的な呼吸の補助が行える)

鼻マスクのメリットとしては、

  • 気管切開(手術)の必要がない
  • 言語機能を阻害しない
  • マスク脱着の容易さ

などが挙げられますが、

症状の進行状況により、いずれは気管切開の人工呼吸器装着の検討をしなければなりません。

侵襲とは

傷つけること。ダメージ。刺激。
医療行為においても効果だけではなく、侵襲(ダメージ、デメリット)も考慮しなければならない。

筋肉のつり(痙り)

筋肉がつってしまったり、痙攣してしまう場合には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとうという漢方薬が有効です。

筋肉のつっ張り(痙縮)・痛み

痛み止め(鎮痛薬)や湿布薬、場合によってはモルヒネ(鎮痛・麻酔薬)などを使います。

痙縮がひどい時には、抗痙縮剤を使うこともあります。

不安・不眠

ALS患者は体の自由が効かないことで多くのストレスを抱えます。

病気に対する不安やストレスから起こる不眠には睡眠薬を、抑うつには精神安定剤や抗うつ薬を用います。

認知症

ALS患者に認知症があらわれることがあります。

多くは、アルツハイマー病とは別タイプの「前頭側頭型認知症」として発症し、ALSの進行とともに重症化していくとのこと。

前頭側頭型認知症は感情のコントロールができなくなる、人格変化、常同行動などの症状を引き起こすとされます。

常同行動とは

繰り返し反復的に行う言動のこと。

ただ、決定的な薬物療法は確立されておらず、

抗うつ薬や抗てんかん薬など精神安定剤等の処方とともに行動療法が用いられます。

行動療法とは

偏った考えやクセ、思い込みから由来すると考えられる不適切な感情や言動を、適切な反応に修正していくこと。
ある状況や場面に対しての不適切な怒りや恐怖などの感情を、その状況や場面に慣れることや喜び、楽しみであることを体験によって変化させること。

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まとめ

ALS患者の見た目は、車椅子に座り、呼吸器を付けて言葉を発することも難しい重度の障がい者と思われますが、

前述したように、知能機能は保たれ、議員を務められるほどに思考は明晰であるのです。

患者数からして僕らがALSやパーキンソン病、筋ジストロフィー患者に接する機会は少ないのかもしれません。

ただ、現在難病とされている疾患もいずれは解明され、少なくとも寿命は伸びていくと推測されます。

僕ら支援員の多くが難病患者を支援する日が来るはずです。

まずはこの記事やALS患者が議員になったというトピックが難病とその患者を知るきっかけとなることを願っています。

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ALSの特徴

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