みなさんおつかれさまです!
利用者の中には、ある特定の事柄に異常にこだわりを見せる利用者が多くいます。
今回は、洗濯にこだわりを見せる、入所施設とグループホームを利用している利用者を例に、
1人ケース会議を行いたいと思います。
洗濯にこだわる利用者
入所施設:iさん
○iさん
○男性
○30代
○入所施設利用
○生活介護所属
○知的障害
○療育手帳B
○障害支援区分4
○日常生活の基本動作を声掛けなしで行うことができる。
洗濯室付近をフラフラしながらも、職員に声を掛けてくれたり、一発ギャグを見せてくれたり、とても自立されていますが、
生活介護の活動には積極的に参加せず、施設の洗濯機や乾燥機を回すことに専念しています。
特に入浴後の衣服の洗濯と乾燥。
(乾いた洗濯物はたたんでくれない…)
iさんは日中は生活介護として活動されるので、入所施設の活動とは別です。
その生活介護の活動は、洗濯物たたみと仕分け、収納などですが、iさんは参加しません。
入所した10数年前は分かりませんんが、少なくともここ数年は、日中活動として洗濯乾燥をお願いいしたわけではありません。
仮に日中活動に参加しても落ち着かず、時間を気にしたり洗濯乾燥終了のブザーに耳を済ませています。
ここの入所施設ではパートの職員が、夜間から早朝までの洗濯物を日中に洗濯・乾燥するわけですが、
隙を狙って、仕事を横取りし、施錠しても職員から鍵を盗み取り侵入します。
それぐらい好きなので、任せてもいいんじゃないかという意見もありましたが、
困ったことに、これまで何度か壊してしまったり、ボヤ騒ぎを起こしてしまったりがあったんですね。
乾燥機はガスを使用していますし、温度なども調節できるようになっています。
職員の見よう見まねで温度調節のつまみをいじってしまったり、乾燥の途中でも開けてしまったりしてしまうんです。
そんなわけで、iさんに洗濯乾燥をやらせるなという支援になっていきました。
一方で、入所施設の職員からすると、洗濯乾燥を利用者が行うことはとても助かる一面があります。
入所利用者の中では、他に洗濯乾燥を任せられるような利用者はいませんし、
日中活動が終わり、パート職員も帰ると、洗濯乾燥は基本入所職員が行わなければなりません。
入所職員らが協力して洗濯乾燥を進めなければならないわけですが、
日々突発的な何かが起こる入所施設においては、計画的進行なんていうのは無いに等しいのですよ(悲しいかな)
それなので、きちんと支援・教育した上であれば洗濯乾燥をやらせてもいいんじゃないかと思うのです。
(現場支援員のエゴ⁈…)
グループホーム:mさん
○mさん
○男性
○40代
○グループホーム入所
○就労継続B型所属
○知的障害
○自閉症
○療育手帳B
○障害支援区分3
○日常生活の基本動作を声掛けなしで行うことができる。
このmさんも比較的自立されており、生活のお手伝いを積極的に行ってくれます。
グループホーム内でも特に水回り関係のお手伝いを積極的に行ってくれます。
洗濯はその日着用した衣服だけでなく、タンスの中の衣類も引っ張り出して大量に洗濯するんですが、
彼なりのルールがあるんでしょうね。
仲間の洗濯物も洗濯してくれるのですが、個々の利用者には自分で洗濯できるように、洗濯方法の学習支援など計画もあるので、困ることでもあります。
mさんは反面人見知りでもあるため、人の洗濯もするけど、個人の洗剤を借りることを言い出せず、洗剤なしで洗濯してしまうのです。
夜間でも自分の気が済むまで行うため、騒音と言う意味でも制限しなければなりません。
その他、お風呂掃除や皿洗いも積極的に行ってくれますが、
その結果、手荒れがひどくなってしまいました。
今ではゴム手袋を着用して水回りのお手伝いを行っています。
了承を得て、夜間は洗濯機のホースの取り外すなど、制限しましたが、
自室での独語がひどくなったり、他の利用者への暴言、日中活動中の静養があったことで、
支援計画は簡単には進みませんでした。
洗濯にこだわる利用者への支援方法
今回はこの利用者へのアプローチとして「強迫性障害」「ストレングス」に焦点を当てます。
強迫性障害
両者とも、強迫性障害と言っていいかもしれません。
それは不安障害とも言われ、強いストレスやプレッシャー、不安、緊張、疲労が原因とも言われていますが、はっきりとは解明されていません。
ストレスや不安を払拭するために、何かに固執するようになることもあるんですね。
ですが、この場合、障害であっても、洗濯が好きであること、洗濯が生活の一部であること、洗濯自体は悪いものではないことは明らかです。
他の利用者や支援員の助けになっているなら思い切って任せてしまうのも手です。
承認欲求、自己肯定感が満たされるはずですし、
キッカケはもしかしたら他人から認められたい欲求、あるいは褒められた喜びが由来しているのかもしれないですよね。
ただ、それでも自立して社会で生きることを考えた場合、
ルールがあり、秩序を守らなければならないのも社会です。
日常生活に支障をきたしたり、他者に迷惑を掛けるようであれば、
その行為を減らしていくべきですね。
ストレングスを活かした支援
知的障害があるのとないのと、療法は異なるはずですから、
強迫性障害の専門的な療法はここでは割愛しますが、
支援員としてできることといえば…
- 怒らない。
- 一度に全てやめさせない。
- が、助長するようなこともしない。
- 段階的に減らしていく。
- 代わりとなる仕事を与える。
こんなところでしょうか。
どんなことでも言えますが、強制的高圧的に止めさせようとしても難しいですよね。
習慣として続いた分だけ矯正時間も掛かると思いますし、
自尊心を傷つけるような支援も後の反動が怖いです。
ここでは、洗濯を取り上げましたが、
利用者によっては今すぐやめてほしい問題行動もあることは分かっています。
ただ、可能な限り、今すぐやめさせるよりも、彼らの持つ欲求や意欲を活かしつつ修正できればベストですね。
洗濯という行為が、褒められたい、認められたい欲求からきているのか、
不安やストレスの軽減のためなのか、
見極めは難しいところですが、
洗濯乾燥の他に、新しい仕事を与え、利用者を褒めながら、
徐々に過剰行為を減らしていければいいと思います。
まとめ
何かに固執する傾向があるのは自閉症者だけと言うわけではありません。
いわゆる障がいがない人にでも少なからずあるはずです。
僕らが不安やストレスを解消するためにやっていることが、どうしてもやめられないことはあり得ますよね。
あるいは、人に認められたくて褒められたくて(注目して欲しくて)行った言動も幼少期にはあったはずです。
自分や利用者の心の内を想像(アセスメント)しながら、
利用者の強み(ストレングス)を活かしつつ、
自尊心を傷つけないように、
改善できればいいですね。
障がい者と支援員を応援しています!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
このブログや記事に対する感想をお待ちしてます!お気軽にどうぞ!