最近世間でよく見聞きするSDGs(エスディジーズ)ですが、この言葉だけでも理解に手一杯であるにも関わらず、こちらの戸惑いをよそに次から次へと意味の分からないカタカナ語が流れてきます。
これは僕らに世界基準を求める試練なのでしょうか?
とにかくテレビやラジオ、ネット上で溢れ出したカタカナ語たちを国連で採択されたSDGsのアジェンダ(議題)から抜粋してその意味を紹介したいと思います。
SDGs(エスディジーズ)とは
SDGs(エスディジーズ)は、「持続可能な開発目標」の頭文字をとった略語です。
Sustainable Development Goals(持続可能な開発の目標)
最後の小文字の「s」は複数形のsであるようです。
『SDGsの読み方はなぜ「エスディジー"ズ"」なのか』日経BizGate
概要
2015年国際連合サミットにおいて採択された、人間、地球、繁栄のための行動計画と目標のこと。
17の目標と169のターゲットからなり、国連の加盟国は2030年までにこの諸目標の達成に尽力する。
「持続可能な開発目標(SDGs)とは」国際連合広報センター
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮約)」外務省
「Transfoming our world:the 2030 Agenda for Sustainable Development」United Nations
以下、キーワードの意味についてはアジェンダに応じた一例です。
アジェンダ
レジュメ(概要・要約)との違いで比較されることが多いようです。
英語:[agenda]名詞
課題・題目・予定表・プラン・議題・実行計画
前文
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である
イノベーション
この単語はSDGsに関わらず聞いたことがあるかもしれませんが、今一度復習。
英語:[innovation]名詞
革新・刷新・一新
目標 9.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
インクルーシブ
この単語は、引用したアジェンダの原文の17の目標の中に多く用いられていました。
日本においては高齢者などに対する自治体の施設や制度の「地域包括支援」の言葉で知られているこの「包括」がインクルーシブです。
英語:[inclusive]形容詞
包括的・包摂的・取り残さない
目標 16.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
持続可能な開発のための平和で包摂的な(インクルーシブ)社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な(インクルーシブ)制度を構築する
グッド・ガバナンス
英語:[good-governance]名詞
統治・良い統治
35.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
新アジェンダは、司法への平等なアクセスを提供し、(発展の権利を含む)人権の尊重、効果的な法の支配及び全てのレベルでのグッド・ガバナンス並びに透明、効果的かつ責任ある制度に基礎をおいた平和で、公正かつ、包摂的な社会を構築する必要性を認める
グッドガバナンスの定義については、経済分野に留まらず、世界規模の各組織・機関で異なります。
このアジェンダにおいては、開発政策における概念として使われ、国や地域の民主化と深い関わりがあるようです。
「民主化とガバナンスのジレンマ」立命館大学
クロスカッティング
英語:[cross-cutting]名詞
2つの事柄を同時に行うこと・クロスカッティング
17.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
我々が決定した統合的なアプローチを反映して、 新たな目標とターゲットには、深い相互関連性とクロスカッティングな要素がある
元は映画や動画の編集技術の一つで、異なる空間や場所で同時並行的に起きている2っ以上のシーンについて、それぞれの場面を交互に繋ぐ編集技術のこと。
このアジェンダの意味では「クロスカッティングな活動」、「クロスカッティングな取り組み」、「クロスカッティング・イシュー(異なる分野間を横断する、融合や統合に向けた問題)」などと使います。
グローバルシチズンシップ
英語:[global-citizenship]名詞
地球志民・地球市民意識
目標 4.7
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする
「グローバルシティズンシップ科」文部科学省
「グローバル・シチズンシップで世界をつなぐ」JICA
グローバル・パートナーシップ
英語:[global-partnership]名詞
世界的問題の解決のための世界規模の協力・提携関係
目標 17.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
コミット(コミットメント)
英語:[commit]多動詞
英語:[commitment]名詞
確約する・専心する・傾注する・委ねる・(過ちを)犯す
約束・誓約・責任・委託・義務・関与・参加
91.(結語)
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
2030 年までに、より良い世界へと変えるため、本アジェンダを十分活用し、 達成するための揺るぎないコミットメントを、我々は改めて確認する
コンサルテーション
英語:[consultation]名詞
(専門家による)相談・助言・診断
6.(これまでの経緯)
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
最も貧しく最も脆弱なところからの声に特別な注意を払いながら市民社会及びその他のステークホルダーとの間で行われた2年以上にわたる公開のコンサルテーション及び関与の結果、この目標とターゲットができた
サステナブル
日本でもてはやされているSDGsの頭文字でもあるこの単語。
日本ではリユースやリサイクルなどの言葉と同じく、自然環境保護の目的で物の再生や再利用の意味で多く使われているように思います。
知らないと恥をかくであろうかもしれない主要なキーワードとなっています。
英語:[sustainable]形容詞
持続可能な・持ちこたえる
標題
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ
ジェンダー
英語:[gender]名詞
性別・社会的文化的性差
目標 5.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
ちなみにジェンダー以外にも性別についてよく耳にする単語「LGBT」や「LGBTQ+」は、SDGsのアジェンダには明記されておらず、その理由は、国連に加盟している193ヵ国のうち約3分の1の国や地域で同性間の性的行為を犯罪としているために国際規模である国際連合のアジェンダには盛り込まれなかったとのことです。
ステークホルダー
初めて耳にする言葉です。
聞き慣れず、なかなか覚えられません。
ビジネス用語として使われるようです。
英語:[stakeholder]名詞
利害関係者
前文
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
パートナーシップ
我々は、強化された地球規模の連帯の精神に基づき、最も貧しく最も脆弱な人々の必要に特別の焦点をあて、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て、再活性化された「持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」を通じてこのアジェンダを実施するに必要とされる手段を動員することを決意する
ダイバーシティ
日本で聞くほど、引用元であるアジェンダの中にはこの単語はほとんど使用されていませんでした。
意味を知らないなりにも耳に残る響きです。
お台場の街のことでも、スキューバーダイビングが盛んな海の街のことでもありません。
「bio」をつけて、生態系の保護・保全の目的で語られる文章に使われることが多いようです。
英語:[diversity]名詞
英語:[biodiversity]名詞
多様性
生物多様性
目標 2.5
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性(ダイバーシティ)を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統 的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する
ディーセント(ワーク)
障がい福祉の分野でも求められる大きなテーマの一つです。
英語:[desent]形容詞
まともな、きちんとした(仕事)
働きがいのある人間らしい(雇用)
目標 8.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
フォローアップ
英語:[follow-up]名詞
実行した事柄についてその確認と効果のために調査・点検すること
47.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
次の15年に向けた目標とターゲットを実行する進歩に関し、各国政府が、国、地域、 世界レベルでのフォローアップとレビューの第一義的な責任を有する
フォローアップとレビューは「追跡調査と評価」のことです。
ユニバーサル
この単語もSDGsの普及前によく聞かれていた言葉です。
ユニバーサル・デザインとも使われ、バリアフリーとも大きく関わりがあります。
英語:[univarsal]形容詞
普遍的・万人の・一般的・世界的・全体の
73.(各レベルでの必要性)
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
本アジェンダはユニバーサルであるが故に、すべての国家間の相互信頼と理解は重要である
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ
英語:[univarsal-health-coverage]名詞
すべての人々が適切で基本的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で受けられる状態のこと
26.(保健 UHC)
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
身体的及び精神的な健康と福祉の増進並びにすべての人々の寿命の延長 のために、我々はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と質の高い保健医療へのアク セスを達成しなければならない。誰一人として取り残されてはならない
レジリエント
おそらく学生時代にも学ばなかったであろう単語。
英語:[resilient]形容詞
英語:[resilience]名詞
弾力性のある・復元性のある・強靭な・柔軟性のある
目標 11.
「我々の世界を変革を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」外務省
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
まとめ
今回取り上げたカタカナ語がどれだけ認知され、また、今後どれだけ浸透していくでしょうか。
カタカナ語が生まれる過程は分かりません。
外国語が日本語へ翻訳されるとき、日本語では端的に簡潔に表現できない新しい概念の場合にカタカナ語や造語、和製英語などで表現されるかもしれません。
日本語の直訳では分かりづらくなってしまうこともあるでしょう。
決してカタカナ語を推奨する訳ではありませんが、これらの言葉がカタカナで表された理由があるはずです。
限りなく英語本来の意味で翻訳されるなら、SDGsのカタカナ語の浸透が国際的な国と人を形成する手段となり得るのかもしれず、また、SDGsの目標も促進されるかもしれません。
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