みなさんお疲れ様です。
僕は数年前に新たに障がい福祉サービスの中の訪問系の仕事に挑戦しました。
それまで通所や入所の障がい者施設で働いていたので、いわゆる訪問系、居宅介護の業務で戸惑うことも多々ありました。
そこで今回は、通所の障がい者施設での支援と、主にご自宅へ伺う訪問系との支援の違いをご紹介します。
障がい福祉サービスにおける訪問系とは
よく混同されますが、訪問系と言っても高齢者を対象とした介護保険法に基づく居宅サービスの中の一つ「訪問介護」とは別です。
障がい福祉サービスで訪問系と言えば、下記の図にもあるように、「居宅介護」を代表とする5っのサービスを指します。
引用元:「障害福祉サービスについて」厚生労働省
訪問や介護が高齢者を連想させ、また、実際居宅という言葉が居宅介護支援や居宅サービスなどと介護サービス内で使われているためによく間違えられ、
居宅介護が障がい者を対象にしたサービスの一つであることを知らない方も多くいらっしゃると思います。
障がい福祉サービスと介護サービスの仕組みと違いについては割愛しますが、
ここではわかりやすく、障がい福祉サービスの中で障がいを持つ方の自宅あるいは外出時に支援や介護を行うサービスのことを訪問系とさせていただきます。
訪問系の業務
障がい福祉サービスにおける訪問系のサービスは5っありますが、概ね説明するならその業務は、
障がいを持つ利用者の自宅へ伺い、あるいは外出するときに同行して、食事・入浴・排泄・家事・移乗などの日常生活支援や通院・買い物などの行動支援を行う業務です。
主に身体介護や家事援助を行う居宅介護はホームヘルプとも呼ばれ、その支援員をヘルパーと呼びます。
逆に生活介護や就労継続支援サービスなどでは、サービスを利用する障がい者が自力でまたは送迎を利用して通所施設に通い、施設内で支援を受けることです。
当然勤務する支援員も施設・事業所へ出勤することになります。
支援者からの視点で言えば、勤務する法人の施設・事業所へ出勤し利用者支援を行うことと利用者の自宅へ伺ったり、外出のために利用者に同行して利用者支援を行うこと、
この2っの間には大きな違いがあるのです。
訪問系居宅介護と通所施設の支援との違いと戸惑い
簡単に言えば、施設内で支援するか、自宅あるいは外出先で支援を行うか、の違いにはなりますが、
その他にも、僕が実際働いてみて感じた、訪問系の支援と通所施設での支援の違いと戸惑いなどについてお伝えしたいと思います。
保護者と自宅
利用者の自宅へ伺う場合、保護者が在宅していることもあります。
保護者にとっても支援員にとっても気を遣うところでしょう。
ある程度自立された方であれば、半一人暮らしであって保護者がいないということもありますが、
保護者がいることは、利用者のその日の状況や今後の予定、世間話などを話していく過程で、利用者の情報を知りやすく、保護者から信頼を得やすい環境であると思います。
保護者と直接会うこと、支援中保護者の目があることは、言葉遣いや支援動作の一つ一つに慎重のならざるを得ません。
支援時間と利用者
支援員の勤務時間にもよりますが、通所施設の勤務となれば5〜6時間程度は利用者と一緒に過ごすことになります。
重度訪問介護を除き、訪問系の居宅介護サービスでは1回あたり原則3時間以内となります。
居宅介護サービスの中で分類される身体介護や家事援助などは1回1時間以内、20〜30分であることも多いのです。
もちろん平日毎日予約が入っているわけではありません。
つまり通所施設での勤務と比べ利用者と接する時間が短いということになります。
現在通所施設で働いている支援員の方は、平日ほぼ毎日通ってくる利用者と多くの時間を共に過ごし、支援する中でその利用者のくせやこだわり、特徴を知り、信頼を得ていると思います。
通所施設での仕事から変わり、居宅介護の仕事を始めた僕を不安にさせたのはそのことでした。
自宅ならまだしも外出先で利用者が不穏になった場合の対処も心得ていません。
そして利用者が次にどういう行動をするかが予測できないのです。
当初個人情報だからという理由でこれから、または今後も関わっていく利用者らのアセスメントシートやフェイスシート、サービス等利用計画や個別支援計画も見られず戸惑い、
「場数を踏むしかない」
と助言されて一人憤ったものです。
局所的支援と目的
そんな短い時間の中でも利用者のできないことやできることがわかってくるものです。
ヘルパーとして数ヶ月が経ち慣れてくると、利用者らへの今後の、将来へ向けての支援が気になり、できることが増えたらいいのに、こうしたらいいのにと、勝手に思ってしまうものです。
それは通所施設での業務に限らず、障がい者支援に携わる支援者であれば自然な反応なのかもしれません。
ただ、如何せん時間が短い。
利用者の成長には長時間の、継続した支援が必要です。
20分、30分の支援となればあっという間です。
やることをやって終わり。
そんな感じで利用者への支援目標に携わっている、という手応えがいつまでもないのです。
ただ、翻って、サービスを利用する障がい者やその保護者から見て「なぜ居宅介護サービスを利用しているのか」を考えてみると、
家事や介護、買い物や通院等の具体的な事柄について支えが必要だから、ということになります。
つまり、日中活動系の生活介護や就労継続支援、居住支援系の共同生活援助や施設入所支援のサービスは必要ないけれど(または既に利用しているけれど)、生活のある一部分について支援が必要である方にとっての、隙間を埋めてくれるサービスが居宅介護サービスであると。
通所施設での支援が個別の支援計画を含んだ総合的支援であるとすれば、居宅介護の支援はそもそも部分的局所的支援であるのです。
支援と介護
また、利用者の周囲の支援者の高齢化も居宅介護サービスが利用される理由の一つです。
レスパイト(休息)の側面もあるでしょう。
文字通り「見守り」だけで事足りる利用者もいます。
そうなると、ここまで僕が使ってきた言葉、「支援」は、間違っているのかもしれません。
前へ進み、自立するための、僕が考える「支援」は、居宅介護には必要ないのかもしれません。
もし「介護」が、”身体・認知機能の低下や衰弱に対する予防あるいは現状維持の為の、マイナスをゼロに戻す“こと、言い換えれば足りない部分を埋めるだけのことを指すなら、
居宅「介護」と名付けられたのも頷けます。
虐待
周囲の目があることは虐待の予防に役立ちます。
保護者と会い、接することも同様です。
ただし、支援中利用者と一対一の状況になることも多々あります。
虐待が引き起こされる要因の一つは周囲の目がないことであると思います。
他にもストレスを生む労働環境や虐待についての研修等体制の不足、個々の職員の資質の問題、感情のコントロールの欠如などが要因として考えられますが、
最終段階実際に虐待が行われるのは、人の目がない場所です。
例えば、利用者の自宅で、もし他害など利用者から不適切な行為を受けた場合、その支援員はどうするでしょうか。
標的は自分しかいません。助けてくれる人もいません。
一度はうまく交わしても止まりません。
誰にも相談できない職場環境であったり、その利用者との関わり方の経験も浅く、ストレスを抱えていたら…。
僕は自分を含め、関わる支援員がそうならないよう、要因となるさまざまな環境、状況を鑑みてしまうのです。
まとめ
この記事を書いた現時点で、訪問系の支援員、ヘルパーとして10ヶ月が経とうとしています。
ですがまだまだ緊張の連続で利用者と数回携わっただけでは、緊張は解けません。
正直このサービスの業務ではまだやりがいや喜びといったものを得たと言うわけではありませんが、
こうして新しく個性豊かな利用者に会うことができ、新たな支援と業務を経験することで、自分のキャリア形成に役立ってくれるはずです。
このブログや記事に対する感想をお待ちしてます!お気軽にどうぞ!